by 日本新聞協会

新聞でできること、新聞だからできること

新聞読まずに就活をするのは、「Tシャツとジーパンで面接を受けているようなもの」

いよいよ就職活動も本格的にスタート。就活で本当に必要な情報力とはどんなもの?面接ではどういことが聞かれるの? そのためにできる準備とは?就職情報サイトマイナビの講師も務める岡 茂信さんにお話を伺いました。

プロフィール岡 茂信(おか しげのぶ)

大学卒業後、大手証券会社に営業として入社。転職先のソフトウェア開発企業では7年間学生の面接・採用を担当。その経験を生かして1999年にジョブアナリストとして独立。現在は多数の大学で学生への就職支援活動を行うなど、人材育成に携わっている。また、企業の採用戦略アドバイザーとしても活躍中。

新聞を読むことは脳みその「ファッション」

2013年卒から大学生・院生の就職活動開始が12月となりました。例年と比べて学生の就活はどのように変わりますか?

日本経済団体連合会の「採用選考に関する企業の倫理憲章」の変更により、2012年卒までは大学3年時の10月スタートだった就職活動が、2013年卒から12月スタートになりました。つまり開始時期が遅くなったのですが、実質的には就活生がやるべきことは何も変わらず、いろいろな意味で企業にアプローチできる期間が短くなったことを意味します。よって、スタートで出遅れないように、自分がエントリーしたい企業を発掘し、エントリーを素早く行う必要があります。

一方で企業側は、就職活動の短期化で、仕事への理解が伴うかどうかを危惧していますので、学生は業界・職種・志望会社の業務分野や内容の理解を深めることを急ぐ意識ももつ必要があるでしょう。

新卒採用の面接ではどのようなことを聞かれるのですか?

面接で聞かれる内容にはすべて意味があると考えてください。まず「自己PR」。これを質問することによって、その人に“どのようなビジネスセンスが備わっているか”を探ります。次に「希望職種」を質問し、“自己PRで聞いたその人の資質と希望職種がマッチしているかどうか”を判断します。それが合っていると感じたら、「仕事のビジョン」を質問します。長期的に高いモチベーションを維持していけるような自らの夢があるかどうかを審査し、“本気でこの仕事がしたいのかどうか”を判断するのです。

ここまでの質問で、仕事に対する理解度や本気度を見定めます。クリアした人については「会社志望動機」を聞き、本当に「自社に入社したいかどうか」を見極めます。加えて、仕事や会社志望に矛盾がないかを審査するために、「受験している企業名」を質問します。志望が本物ならば業界を絞って活動しているはず、と企業側は想定していますので、この質問には、同業他社名をあげて回答することが基本となり、また、「他社と比較しながら志望会社を選ぶ理由」を準備しておく必要があります。

就活の情報収集はどのような方法がありますか?

情報収集のコツをつかむためにも、まずはどのような情報が必要かを覚えましょう。就職活動で必要な情報は三つあります。まず一つ目が「過去の採用動向」です。学校の先輩がどんな企業に入社したのか?どんなエントリーシートが選考を通ったのか?どんな人柄の先輩が内定を得ているのか?を調査しましょう。(大学にもよりますが)就職課(もしくはキャリアセンター)には、これらの情報が豊富に蓄積されていますので、早期に就職課を訪ねましょう。

次に「企業の選考動向」を把握します。例えば志望企業のエントリーシートの締め切りはいつか、選考は何次まで進んでいるかなどです。こちらは、志望企業のリクルートページや、就活情報サイトが参考になります。

最後は「企業の中身情報」を入手しましょう。企業の業績、社風、独自性の有無、元請けか下請けかなどの情報です。リクルートページや、就活サイトなどに、企業が打ち出したアピールポイントがたくさん掲載されています。しかし、企業の風土や業績、社会的な評価などを知るためには、企業側から発信しているものだけではなく、メディア側から発信された情報も入手する意識をもつ必要があります。この場合、メディアの中でも新聞が大いに役立ちます。新聞を読めば、業界の全体的な動向が把握できるのはもちろん、「客観的な情報」を入手できるというメリットがあるからです。

また、新聞はテレビと違い、静止した状態での情報を自分のペースで読むことができます。テレビも、もちろん情報源になりますが、耳から入る情報はよほどのインパクトがない限り頭に残りません。また、残った情報は時間とともに急速に薄れてゆきます。それに対し新聞は、多分野の情報が一覧でき、そして手軽にマーカーが引け、更に何度でも読み直すことが可能です。つまり、情報が形として残っている新聞の方が、自分のペースで理解を掘り下げられるというメリットがあるのです。もちろん、新聞・テレビ・ネット、それぞれに良い点があるので、どれか一つのメディアに偏るのではなく、三つのメディアを連携させるのがよいでしょう。新聞をベースに話題を網羅し、テレビで取り上げられたことをもう一度新聞で確認し、そして分からない単語や内容をネットで検索するというスタイルが、知識を広げ、かつ掘り下げてゆく情報収集につながります。

新聞は就活にはどのように役立つのでしょうか?

新聞を読んでいると、人と話すときの話題が格段に増えます。ビジネスパーソンを相手に会話をするには、それなりに世の中の情勢や経済の流れを知らないと、話が進みません。新聞を読むことで、社会人と共通のネタを持ち、対話できるレベルにまでなっておくと会話も弾みます。面接では、この対話が重視されますので、就活の成功にもグッと近づきます。

そもそも、新聞を読まずして就活をするのは、「Tシャツとジーパンで面接に行く」ようなものです。社会人のマナーとして、最低限の知識を身につけておかないと、企業に自分を売り込むこともできないでしょう。イメージが湧かない人は、新聞は脳みその「ファッション」だと考えてみてください。面接前にリクルートスーツを着て身なりを整えるように、新聞を読んで知識を増やし頭の中を社会人レベルに整えるイメージです。そう考えてみれば、新聞を読む必要性を自覚できるはずです。

就活生におすすめの新聞の読み方を教えてください。

まず購読する新聞は、自分の読みやすいと思う新聞を手に取ってみてください。これまでじっくりと新聞を読んだことがない人は、一面、二面、三面だけで構いませんから、重要だと思う部分にマーカーを引きながら、毎日読み進めていきましょう。記事の中身を全部暗記する必要はなく、なんとなくキーワードが頭の片隅に残る程度で大丈夫です。例えば「TPP」という単語について、TPPが何の略かを正確に暗記する必要はありません。大切なのは、内容がきちんと分からなくても毎日続けることです。

新聞に慣れていない人は、新聞を読んだとしても三日坊主で終わってしまうことが多いかもしれません。しかし、そこは頑張りどころ。新聞は、必要な情報が「その日の新聞」に掲載されているとは限りません。しかし、継続して読むことで、少しずつ知識を積み重ね、そして例えば1か月後に、必要な情報が頭の中にあることや、理解が進むようになっている自分に気づくのです。キーワードはマーカーを引きながらの継続です。

読むべきものとして「社説」があげられます。社会情勢など、賛否を問われても自分の意見が持てず迷ってしまう人は、まず社説を参照してみましょう。それぞれの新聞社のプロの記者が、どのような視点で事柄を見ているかなどを参考にし、自分だったらどう考えるのか、まとめておくとよいです。そうしておけば、グループディスカッションでいろいろなテーマが出されても、恥をかかずに済むでしょう。

グラフやデータをアピールに活用!

もう一歩踏み込んだ新聞の読み方を教えてください。

さらにレベルアップした読み方としては、統計データやグラフなどに注目しスクラップしておくことです。新聞に掲載されているデータは、信頼性が高いので、資料として活用しましょう。自分の志望する業界や、商品に関連するグラフやデータから、流れやトレンドを数値で把握することができます。志望動機や仕事の提案に絡めることも可能です。

また、一面、二面、三面だけでなく、暮らし・生活面や広告などにも業界・企業研究のネタがあふれています。志望する業界の話題はもちろんですが、ちょっとした豆知識や工夫など、ライフスタイルに生かせる記事も多いので、話の幅も広げることができるでしょう。

新聞はその人に合わせた読み方ができるメディアです。また、その人のポジションによって読むポイントが異なる面白いメディアです。内定をいただいたら社会人のマナーとして読む、入社後もメーカーの営業マンならば専門紙の製品紹介欄を、社長秘書なら人事異動欄に注目して読むでしょう。

このように考えると新聞の読み方は奥深いものです。就活を成功させることはもちろんですが、その先の人生を豊かなものにするためにも、今から新聞を継続して読む習慣を身につけておくことをおすすめします。

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