by 日本新聞協会
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OUENDAN新聞応援団

2016.10.26 update.

人に寄り添う目線大切に

宮下 奈都 | 作家

「羊と鋼の森」で2016年本屋大賞を受賞した宮下奈都さん。現在は福井市在住ですが、東京、秋田、新潟、北海道に住んだことがあるそうです。「土地を知るにはそこで最も読まれている新聞を読むのが一番」という宮下さんに、普段、新聞を読んで感じることを語っていただきました。

 

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家族を仕事や学校に送り出し、地元紙を広げる。何か面白いことがないか、わくわくしながら。友人の子どもがスポーツで活躍している記事を見付けるとうれしくなる。身近な人の動静だけでなく、地元で頑張っている人を知ったり、こんな風習があったのかと発見したりするのも楽しい。

 

子どもが犠牲になった記事が多い日は、読むのがつらい。いじめや子どもの自殺などが起きないよう、大人にできたことがあったのではないかと思うから。子どもの健やかな成長をいつも願っており、他の子どももそうであってほしい。

 

生まれ育った福井で3人の子育てを優先して自分のペースで執筆してきたが、2013年春から1年間、思い切って一家で北海道・トムラウシに移住した。この時購読していた新聞を含めて地方紙、全国紙、英字紙と現在6紙を取っている。東京や秋田、新潟、京都にも住んだが、地元紙は欠かせなかった。土地を知るにはそこで最も読まれている新聞を読むのが一番。暮らしを豊かにする情報が詰まっている。

 

普段の生活と世の中を結び付けるのが新聞だと思う。私の小説は暮らしの中で生まれていて、新聞がなかったらリアリティーがなくなってしまう。新聞はとても大事なもの。何紙も購読しているのは、子どもたちに世の中をいろんな視点で見てほしいという思いもある。

 

毎日届く読み物は〝知り合い〟や〝顔なじみ〟のような存在。信頼しているからこそ、読む人の目線で書いてほしい。何者でもなかった私が初めて書いた小説に目を掛けてくれた選考委員や編集者がいたから作家になれた。新聞は、誰にも気付いてもらえずつらい思いをしている人に寄り添うものであってほしい。

PROFILE宮下 奈都

1967年福井市生まれ、同市在住。上智大卒。2004年、36歳で初めて書いた小説「静かな雨」で作家デビュー。著書に「スコーレ№4」「よろこびの歌」「窓の向こうのガーシュウィン」など。「羊と鋼の森」が直木賞候補に。同作で16年本屋大賞。

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