by 日本新聞協会
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OUENDAN新聞応援団

2015.05.28 update.

見開き30段に描かれている世界

中山ダイスケ | アーティスト、アートディレクター

現代美術家やアートディレクター、東北芸術工科大学(山形市)情報デザイン学科教授として活躍する中山ダイスケさん。小さい時から新聞を愛読し、現在はデジタル版を読んでいるそうです。デザイナーという視点から見た新聞の変化や新聞というメディアの在り方などを伺いました。

 

**********nakayamadaisuke

――見開き30段に描かれている世界

僕は小学生のころから、新聞が大好きで四コマ漫画から広告、訃報欄など毎日むさぼるように読んでいました。事件の記事を読むのが好きで、殺人事件など怖いんだけど「どうして人を殺したんだろう」「誰が犯人なんだろう」と読みながらいろいろなことを考えるのが好きでした。その頃読んでいた新聞は、絶対にテレビのニュースではやらないような、新聞でしか読めない記事が載っていて面白かったんです。最近はそういう記事が少なくなっている気がします。

 

インターネットと新聞では記事の見つけ方も違います。ネットは見出し一覧やダイジェストを見て、気になったものをクリックして読む。紙はページを広げるとすべての記事が一目で読めるので、見つけられる記事も様々です。意図的にこの記事の隣にこの記事を置いているんだろうな、と思うこともあります。

 

「ママがお弁当工夫しています」といった記事の横に「私学の学費が上がる」という記事を見つけたり、その新聞模様というか、あの15段+15段=30段の中に置かれている図が面白いですよね。

新聞こそ、べたーっと開いて読みたいですし、それが出来るのはホテルの朝食テーブルなので、すごく楽しみな時間でもあります。新聞は紙だから面白いのではなくて、広げられるから面白いんだと思います。

いまだに新聞より大きな紙って自宅にないですよね。あれだけ大きな紙面が毎日家に届くというのはワクワクするはずなんですよね。

 

――移動時間、空き時間は常に新聞のデジタル版を読んでいる

昔は新聞紙を購読していましたが、海外に移住し帰国して以来、デジタル版を毎日4、5紙読んでいます。新聞を読むことが好きなので、移動中や空き時間があると、常に新聞を読んでいます。大きなニュースはネットで知ることが出来るので、どちらかというと地方の記事や記者が見つけたこれから売れそうなものや、経済欄のトピックなどが好きですね。

 

最近は言葉に関する記事に興味を持ちました。日本語が若い人の間で変化しているとか、小学生の間ではやっている言葉などについてです。「言葉が乱れている」と書かずに「言葉が変化している」と、とても慎重に書いているので面白いと思います。

 

――時代とともに変化する新聞の文字と情報量

仕事柄、新聞の文字が時代とともに変化していることも気になります。特に新聞のフォントが変わった時はとても衝撃的でした。文字を大きくするだけではなく、ユニバーサルデザインの文字に変わり、視認性がとても高くなりました。文字の抜けを大きくしたり、「9」と「6」の文字のバランスが変わったり、写真のクオリティーも以前より高くなっています。昔は新聞とネットは同じ写真が使われていましたが、最近はネット上の写真と紙面に掲載される写真は画角なども違います。

 

大学でも、新聞についての講義をしています。授業の中で学生たちにどこがどう変わったのか伝えるためにも、そういう部分も細かく見るようにしています。数年に一度「新聞の文字が大きくなって読みやすくなりました」と大々的にうたわれていますが、文字が大きくなった分、文字数が減り、情報量が減っていると感じています。新聞しか読んでいない人にとっては、本来500文字で書かれる記事が300文字にまとめられ、詳細が分からないこともあると思います。ネットの方が、情報が深いと思います。

 

――速報ではなく、深く掘り下げるメディアであってほしい

ニュースメディアとして配達が一日2回では、もはや遅いわけです。都会だと何版と更新していますが、あれでは遅い。新聞は速さを競うのではなくて、毎日届く一つの世界地図みたいな感じがします。

 

ニュースを早く伝える、というメディアの役割はもう終わったと思っています。ニュースを深く、ニュースの周辺を伝えるメディアになれば良いと思います。メーンのニュースは無料で新聞各社が共有し、各社が独自にニュースの周辺を掘り下げていき、新聞社の視点や考え方を読ませるというふうにすれば、もっと読者が増えると思います。そこに価値があるのだと思います。遅いことを不利に取らないで、その分深く、毎日届く週刊誌みたいにすればもっと深みが出てくると思います。

 

――地元に密着した地方紙はとても面白い

そういう意味では地方紙は、とても面白いですよね。私は毎週山形に行っているのですが、山形新聞は最高に面白いです。山形を4つの地域に分け、それぞれの地域に住む記者が記事をとても丁寧に書いています。山形では、山形新聞に載らないと山形中にお知らせをすることが出来ない。山形新聞に載ることが一番の露出効果があるんです。住んでいる人に愛されているから、新聞も生き生きしているんだと思います。

 

地方に住んでいる人にしてみたら、全国ニュースはテレビをつければやっているし、ネットでもすぐに知ることが出来ます。だから地元の新聞には、近所で起こった事件や事故のことを伝えてほしい。遠い海外の国で起こっていることよりも、住んでいる街で起こっていることの方が大事なんですよね。私は大きなニュースをスルーして、小さな記事を読むのが好きです。私自身は新聞のファンなので、これからも読み続けます。

 

――大学生にこそ新聞を読んでほしい

大学生こそ新聞を読んでほしいと思います。しかし時間もお金もない中、1か月3000円くらいする新聞に手が出ないのもよく分かります。一人暮らしの学生にとっては、新聞はちょっと情報量が多いのかもしれません。新聞も学生用の1500円くらいのライト版があってもいいかも。きちんと伝えなければいけない主要ニュースや政府広報系、社説などその新聞社の考え方などを読ませる欄は基本ですが、それ以外はオプションで社会、スポーツ、芸能だけとか選んで買える新聞も面白いかもしれませんね。

今度、大学の授業で「ハッピースクラップ帳」を使った講義をする予定です。新聞やニュースを好きな学生と、まったく興味がない学生を半分ずつくらい混ぜてみようと思っています。

新聞に興味のない学生が、意外なハッピーニュースを見つけるかもしれないし、どんな記事を選ぶのか興味深くもあります。新聞に触れる良い機会になればよいなと思っています。

 

 

PROFILE中山ダイスケ

絵画や立体などのアートワークのほか、ファッションショーや舞台美術、店舗、空間、商品、パッケージ、広告などのデザインや、企画ディレクションを手掛ける。東北芸工大教授。株式会社ダイコン代表。株式会社オレンジ・アンド・パートナーズcco。

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