by 日本新聞協会
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OUENDAN新聞応援団

2010.12.10 update.

「伝説の人事部長」新聞を語る

小宮謙一 | クレディコム社長

小宮謙一3 面接した学生は2万人を超える。人材コンサルティング会社、クレディコム社長の小宮謙一さん。リクルートとソフトバンクグループで採用を担当し、学生が社会人へと変身していく場に立ち会ってきた。
そんな採用のプロフェッショナルについた異名が「伝説の人事部長」だ。ラジオの「TOKYO FM」で同名番組のパーソナリティーを務め、企業の経営者や人事部長と対談。採用する側の本音など就職活動中の学生に役立つ情報を提供している。
企業の採用活動や組織改革を支援する会社を率いる現在、入社1~2年目の若手社員に呼びかけていることがある。それは「1日1回は今日の新聞に書いていることを先輩と話してみなさい」というものだ。
残念ながら入社までに新聞を読む習慣のなかった社員も少なくない。政治、経済、社会などのニュースに意見を求めても「最初はトンチンカンなことを言う」。 だが、小宮さんが繰り返し話しかけるうちに新聞を読むようになり、半年もたつと小宮さんが「なるほど」と思うこともある。
小宮さんはそんな若者の成長が楽しみで仕方がない。「最初はテレビでニュースを大まかに理解してから新聞を読むのも一つの手」。難しそうに見えるかもしれない新聞も「慣れるのは簡単だ」と言い切る。
小宮さんが若手社員に「新聞」「新聞」と繰り返し言う理由は単純明快だ。それは「お客さんが読んでいるから」。テレビやインターネットにあふれんばかりにある情報。だが、大人同士の会話をよく聞くと、新聞記事の情報が話題になっていることが多い。
顧客が記事を話題にした時、自分が読んでおらず、会話が途切れるようだと「相手との距離を縮めるのは難しい」。さらに、顧客の企業を取り上げた記事を読んでいないようだと、気まずい雰囲気になってしまうかもしれない。
逆に顧客の企業を取り上げた記事を話題に話しかければ、相手に熱意を伝えることができる。小宮さんは20代の若手社員時代にこれを実践。朝、じっくりと新 聞に目を通し、8時半から記事を話題に営業先へ電話をかけて回った。「9時を過ぎると、すでにライバルが電話をかけていて『御社で4件目だ』と言われ た」。ビジネスは競争。努力しているのは自分だけではない。
学習塾の教師だった父親が無類の新聞好き。三つの新聞を購読する家に育った。小宮さんはプロ野球の巨人のファン。少年時代、巨人が勝つと、翌朝は上機嫌で三つの新聞をめくった。
経営者として忙しい毎日を送る今も、時間が許せばさまざまな新聞に目を通す。飛行機に乗る時は何紙も買い込んで読み比べる。「一つのニュースでも新聞によって見方が違う」。大人になってから、新聞によって見方やスタンスが違うことが分かるようになった。
小宮さんの会社は日本企業による中国人学生の採用支援もしている。小宮さん自身も北京大学や清華大学など中国を代表する大学の学生たちと交流。その中で気づいたのは、彼らが冷静でバランスのよい判断ができるということだ。
例えば日中両国が対立しているような場合でも「中国が一方的に正しく、日本が一方的に間違っているとは決めつけていない」。日本に比べて政治も言論も自由 の少ない国。それだけに「多様な情報を手に入れ、自分の頭で判断しようとする姿勢が身についているのではないか」とみている。
小宮さんから見れ ば、日本の若者のほうが「一つの考えに染まり、流されやすい」。それを防ぐ最良の方法は多様な情報や見方に触れ、自分の頭で考えること。社会人として一歩 を踏み出した若者、これから社会人になろうとする学生に「いろいろな新聞を読んでみよう」と呼びかける。

PROFILE小宮謙一

92年株式会社リクルート入社。99年ソフトバンク株式会社入社。2006年株式会社クレディコムを設立、代表取締役に就任。成長企業を中心とした採用支援・組織活性のコンサルティングを行う。「伝説の人事部長 究極の就活論」(学研パブリッシング)を10年10月に出版。

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