by 日本新聞協会
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OUENDAN新聞応援団

2014.07.18 update.

新聞は手元におきたくなる、大切なもの。〜兼松さん後編〜

兼松佳宏 | greenz.jp編集長

「社会の課題を自分たちで楽しく解決すること」をモットーに、ソーシャルデザインという言葉を、日本中に席巻させた「greenz.jp」。若者の間で大変人気を博しているウェブマガジンです。全国各地から届くソーシャルデザインアイデアを集約し、編集長として活躍しているのが、兼松佳宏さん。HAPPY NEWSの取り組みに共感していただき、新聞の将来についても、アイデアをいただきました。前回は「地方紙の面白さ」をお話いただきました。さて今回は…!

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———「greenz.jp×HAPPY NEWS」ワークショップ開催を望みます!

ぜひgreenz.jpとハッピーニュースで提携できるといいですね! 日本の新聞は読者の幅が広いので、どうしても情報が最大公約数的になってしまいます。一方、greenz.jpは「こんなプロジェクトをやっています」とか「こんなことをやりたい」とか、自分が社会の担い手として、アクティブに行動したいという人が対象なので、まだまだとってもニッチ。だからこそgreenz.jp的な視点で、HAPPY NEWSを捉えていくと、またちがう伝え方ができるんじゃないかなと思っています。

 −−−HAPPY NEWSには全国に特派員がいまして、地方紙からも投稿していただいています。

いいですね。例えば、特派員の皆さんと編集学校のようなワークショップをしてみるのも面白いかもしれません。グリーンズでも編集者ライター向けに「編集学校」をやっているのですが、「ソーシャルデザインとは?」という話を前提にしながら、自分たちでgreenz.jpのライターになったつもりで実際に記事を書いてもらうんです。

参加者には、事前にgreenz.jpの記事を見てきてもらいつつ、greenz.jpに載ってもおかしくない事例を探してきてもらいます。森の手入れにヤギを放牧して、それが癒やしにつながっている話とか、酒だるを海の底に沈めて、おいしい日本酒をつくっている話とか(笑)。そうしたネタの断片を発表してもらいながら、一番面白いと感じたアイデアを選んで、グループワークで記事を書いていきます。

クイック記事_テンプレ

初めて記事を書く方もいるので、ワークショップでは記事の型を用意しています。まず冒頭では「あるある話」から始めます。ウェブマガジンの場合、自分に関係のない話は読み飛ばされてしまうので、「みなさんは満員電車が嫌なことはありませんか?」「ああ、あるわあるわ、何の話かな?」みたいに、読者とアイデアの接点をつくるんです。新聞にはないかもしれません・・・。

その後は具体的に事例を紹介していきますが、文章の締め方にもグリーンズとしての工夫があります。ひとつは「おばあちゃんを支援するこのアイデアは、おじいちゃんのサポートにも生かせるかもしれません」と、応用例を提示し、「ぜひあなたも○○○してみませんか?」と、次のアクションにつながる書き方にしています。

というのも、記事に出ていただいた方ももちろん素晴らしいのですが、グリーンズの読者こそ主役だと僕たちは考えているからです。例えば「太陽光発電が広がっています」と伝えたところで、通常だと「すごいですね」で終わりがちですが、「あなたも太陽からエネルギーをもらっていると思いながら、空を眺めてみませんか?」という締め方にして、「それなら私でもできるかな?」と思ってもらうと、新しい目線で世界を眺めることができると思うんです。

HAPPY NEWSの記事を題材にして、グリーンズのノウハウを詰め込んだワークショップを開いたら、面白そうですね。

 

−−−情報をアーカイブするのも魅力的です。新聞はその可能性も秘めていると思います。

昔、親から自分が誕生した日の新聞をもらったことがあって、すごくうれしかったんですよね。だから僕も去年の娘の生まれた日の新聞をずっととっておくつもりです。記念アルバムの一部に新聞の切り抜きを入れるなど、そういう情緒的な部分も新聞の魅力だと思うんです。ネットニュースのプリントアウトとは、やっぱり何か違う味わいがある。

あとは社会的に大きなニュースがあったとき、新聞を購入してアーカイブとして残すことはよくやります。例えば、オバマ大統領が就任した時に、ちょうど仕事でアメリカにいたので、ワシントン・ポスト、ウォールストリート・ジャーナルなどを全て購入して読み比べしたり。人によっては東日本大震災の新聞をとっておいている人もいる。そうやって「手元に残すもの」として新聞の意味は大きいのかもしれません。

情報って鮮度だけでなく、アーカイブすることも大切だと思うんです。greenz.jpでも情報を発信すればするほど、過去記事がたまっていきますが、それがすべて財産なんですね。急に検索でトラフィックが増える、という意味だけでなく、いつ誰がその記事をきっかけに人生を切り開くのか、僕たちにはわからないからこそ面白い。新聞は検索性が低いと思うので、アーカイブという切り口で考えると、新聞とネットが共存する姿が見えてくるかもしれませんね。

ネットを軸にしている僕からすると、新聞でやるべきこととそうでないことがあるように思います。ライトなニュースは、もしかしたら新聞に掲載する必要はないかもしれない。逆に多くの人に愛されている新聞だからこそ伝えるべきことに注力し、ページ数を減らしながら魅力を引き出すこともできるのではないか。もちろんさまざまな努力をされているとは思いますが、メディアに関わる人間として、大好きな新聞の未来に何か貢献できることがあれば、ぜひ取り組んでみたいと思っています。

★greenz.jpはこちらから → http://greenz.jp/

PROFILE兼松佳宏

ウェブデザイナーとしてnpo支援に関わりながら、「デザインは世界を変えられる?」をテーマに世界中のデザイナーへのインタビューを連載。2006年クリエーティブディレクターとして独立し、ソーシャルデザインのためのヒントを発信するウェブマガジン「greenz.jp」の立ち上げに関わる。10年より編集長。著書に『ソーシャルデザイン』『日本をソーシャルデザインする』など。2013年より鹿児島県へ移住。一児の父。

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