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2015.06.19 update.

離島経済を伝え、支えるメディア。(後編)

鯨本あつこ | npo法人離島経済新聞社代表理事

島の集まりとも言える日本。現在、本土5島を除く離島は6847あり、そのうち人が住んでいるのは418島と言われています。そうした離島には、多種多様な文化や自然などが残る一方、医療や教育機会の不足、人口流出、高齢化といった多くの課題を抱えています。

そんな小さな島々に光を当てようと、島の情報を取り上げてきたのが「離島経済新聞」(通称リトケイ)です。ウェブサイトでの情報発信に始まり、タブロイド紙「季刊リトケイ」を発行。今では島の人たちとともにプロジェクトを実行するチームへと進化しています。NPO法人離島経済新聞社代表理事で「離島経済新聞」や「季刊リトケイ」編集長でもある、鯨本あつこさんにお話を伺いました。

☆今回は前回の前編に続きの内容となります。

スクリーンショット(2015-06-15 19.47.10)

Q:「季刊リトケイ」の制作は何号目ですか?

A:2015年5月現在で13号です。季刊紙なので春夏秋冬。数人でやっている小さな組織ですから、全国各地の離島情報を取材するにはそれなりにに時間がかかります。

 

Q:離島の情報はどう集めるのですか?

A:リサーチには力を入れていています。テレビ番組の制作現場で情報集めを行うリサーチャーが本業のメンバーをはじめ、雑誌業界の編集者など、スキルを持った人を起用しています。最新号を作るときには、創刊号から関わっているメンバーや、編集部のみんなでリサーチをし現地情報を集めています。実際に離島を訪れることもありますが、小さな組織だけに費用や時間が限られています。島の在住者に協力いただいて、記事を作ることも多いです。全く知らない人にいきなり連絡を取るのは簡単ではないので、少しずつ現地の方と関係性を築きながら、情報ネットワークを築き上げてきました。

 

Q:スタッフは何人くらいいるのですか?

A:1号作るのに編集スタッフは、アシスタント含めて6、7人です。しばらく取材を続けていると、この島ではこの時期にこんなことをやっていて、誰が何に詳しいといった事情がわかってくるので、情報を共有しながら取材を進めています。

Q

A:そうですね。最新号は5000部発行し、そのうち半分は、離島地域の約300か所にある無料設置ポイントで配布などしています。創刊当時は書店に置いてもらおうと頑張っていましたが、新聞という形態を取っている以上、書籍として扱うのが難しいため、流通面でいろんな課題があることがわかりました。新聞の形状では、取次を通しての書店展開はできないのです。日刊新聞ではないので、新聞流通にも乗せられない。少数ではありますが、東京の「代官山 蔦屋書店」といったこだわりの書店さんに置いてもらっています。同店がオープンした2012年は、「季刊リトケイ」が「国内旅行コーナー」で年間売り上げ1位になりました。

 

Q:最近取材しているテーマは何ですか?

A:「島のお祝い特集」です。ちなみに、これまでの「季刊リトケイ」のなかで一番評判がよかったのは、「しまのがっこう特集」号です。島の人にも喜ばれましたし、島以外の人にも、興味深く読んでいただきました。「離島経済新聞」や「季刊リトケイ」のコアな読者層は「島に住んでいる人」「島にゆかりがある人」「島の関係者」「島のファン」なんです。それぞれの島の教育事情を取り上げたこの特集は、島に住んでいる人から「他の島でどんな教育をしているのか知らないので、とても参考になった」といった感想をいただきました。

 

Q: ほかのプロジェクトについても教えてください。

A:離島経済新聞社が持っているスキルやノウハウを活用した案件が、いくつか動いています。以前、奄美群島に暮らす人の情報発信力を養いながら、奄美群島を紹介する新聞を作りたいという問い合わせがあり、新聞作りの研修を行い「奄美群島時々新聞」というフリーペーパーを作りました。

2014年度からは、日本財団と共同で「新聞づくりを通して海と島でできた日本を学ぶ」ことを目的にした「うみやまかわ新聞」というプロジェクトを実施しています。新聞作りを通じて、自分が暮らす地域の良さや他の地域とのつながりを学ぶものですが、「新聞づくり」を通し、子どもたち自身が地域にある価値や課題を、見つけるきっかけを得ることができます。

新聞作りは、小学校では総合的な学習になるんです。「物事を客観的に見ることができる」「たくさんの情報から必要な情報を選び、編集する力を養う」「地域のことを自分の力でリサーチする」など、学校で学んでいることを総合的に活用しないと作れません。

新聞は「作る側も読む側も勉強できる」という部分がとてもユニークだと思います。そこを私たちも非常に評価していて、できるだけ教育の現場に生かしていきたいと思っています。

 

Q:次のステップとしてどんなことをしたいと考えていますか。

A:いまちまたで言われている「限界集落」や「消滅可能性地域」という観点では離島は危機にひんしています。「有人離島」が「無人島」になる可能性もあります。一方で都会にいる島の出身者も含めて、離島地域の経済を回復するために活性化を目指し頑張っている人たちや、盛り上げていこうとしているたちも増えています。そういう人の活動を、離島経済新聞社は伝えていこうとしていますが、まだまだ人手が足りない状況です。島の情報を知りたいという人に、島のメディアとしてより良い情報を届けられるように、ウェブと紙媒体を活用しながら、より良い情報を届けたいです。

 

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離島経済新聞:http://ritokei.com/

PROFILE鯨本あつこ

有人離島専門のウェブメディア「離島経済新聞」、タブロイド紙「季刊リトケイ」編集長。株式会社リトルコミュニティラボ代表取締役。地方誌編集者、経済誌の広告ディレクター、イラストレーター等を経て2010年に離島経済新聞社を設立。地域メディアのプロデュースや人材育成、広報を担当。東京・世田谷区三宿エリアの活性化事業「世田谷パン祭り」、奄美群島のフリーペーパー「奄美群島時々新聞」、石垣島にゆかりのあるクリエーターを掘り起こす「石垣島creative flag」等のプロジェクトに携わる。12年ロハスデザイン大賞、グッドデザイン賞受賞。13年「tedxtokyo」登壇。美ら島沖縄大使。「離島経済新聞」www.ritokei.com342

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