by 日本新聞協会
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OUENDAN新聞応援団

2015.06.28 update.

新聞は編集されているからこそ面白い

赤井友美 | キンダリーインターナショナル運営

東京都中央区で民間学童保育施設「キンダリーインターナショナル」を運営する赤井友美さん。切り抜いた記事・写真や広告、メッセージを貼って「ハッピースクラップ帳」を作るワークショップを5月に開催しました。2児の母として、起業家として、子どもたちの未来のために日々活動されています。お仕事や新聞についてお話を伺いました。

akaitomomi

まず新聞との関わり方について教えてください。

会社員時代は広報にいたので、毎日3~4紙の新聞を読むのが日課になっていました。今は、日経デジタル版を購読し、iPadなどで新聞を読んでいます。基本的には毎朝、子どもが出かけた後30分くらいの間に、タイトルを拾い読みして、気になった記事はスクリーンショットを撮って切り抜き、後でまたじっくり読んでいます。

最近は「私の履歴書」が話題にもなっているので必ず読みますし、その時期の社会情勢をとてもよくあらわしている社会面は、まんべんなくチェックするようにしています。

 

私にとって新聞を読む一番の醍醐味(だいごみ)は、一面に掲載される情報のレベルが良く分かるということです。新聞社によって一面で取り扱う記事も違いますし、社説などでも各新聞社の色や思想が出ていて面白いと思います。社会情勢によっても変わります。ウェブは情報が並べられているだけなのに対し、新聞は編集されているからこそ面白く、そこが魅力なんだと思います。

 

―学童保育を起業したきっかけは何ですか。

起業前に会社員として働いていた企業で、CSR(社会貢献)事業の一環として従業員を中学校へ派遣して授業を行うプログラムを立ち上げました。そこで、自分が想像していた教育現場とのギャップにとても驚き、もっと子どもたちの視野が広がるような教育を提供したいと考えるようになりました。また、先生など大人との関わりがいかにその子の人生に影響を及ぼすのか、教育は人の根幹を作る大切なものだと気づきました。勉強が始まる小学校低学年のころから、様々な体験を通じて、自分が夢中になれることや、好きなことを見つけられる場を提供したいと考え、学童保育事業を始めました。

 

―「キンダリーインターナショナル」ではどんなことを実践していますか。

まず自己肯定感を高めること、体験教育やEQ教育(こころの教育)をとても大切にしています。

 

EQの基本は、今起きていることに対して、自分の気持ちをちゃんと感じる力です。そして相手が自分と同じ気持ちなのかを感じ、理解することを学びます。結果的に多様性の理解に影響してくるのです。

自分の感情や気持ちを押し付けるのではなく、相手のことを考えながら行動する力です。どんなにIQ(知能指数)が高くても、共感力がない人は仕事ができないといわれています。知能とEQが両方ないと、本当の知性にはならないということです。

 

また、自分に対して自己肯定できる力がないと、チャレンジすることもできなくなってしまいます。誰もがむちゃなチャレンジをする必要はありませんが、学生時代に実力よりも少し上のことにチャレンジしないと、社会に出ていくのが難しくなるので、自信を持って何かに立ち向かうことがとても大切だと考えています。

 

―プログラムの内容を教えてください。

人それぞれ考え方が違うということを長期間、学んでいきます。日本では道徳という授業がありますが、感動的な話に涙したり、同情するということではなく、文化や考え方の違いを認識・理解し、受容できる能力を育てるのです。

 

キンダリーインターナショナルに通っている子どもたちは、人のこころや、多様な考え方を受け入れる許容度がとても広いと感じることがあります。例えば子どもたちの間でささいなもめ事が起こった場合、どうして大きな声を出したのか、どうして気持ちが落ち着かなかったのかなど、自分の感情を振り返るようなコミュニケーションを取ります。できるだけ手を握ったり、抱っこをしたり、スキンシップを取りながら話をします。特に6歳、7歳くらいの子どもは、幼稚園から小学校に上がったばかりで、とても敏感な時期です。子どもが小学生になると突然「一人で寝なさい」とか「抱っこはもうしない」となってしまう家庭もありますが、数か月前まで幼稚園生だった子どもにとっては、そういう小さなことをとてもさみしく感じることがあるんです。小さなことでも私たちがクッションになって伝えることで親子のコミュニケーションにつながると思っています。大人の関わり方が子どもにも伝わり、大人に対する信頼感も変わるんです。

 

子どもは素直なので、大人が口に出す表現とその裏にある気持ちに違いがあるのを日々感じ、混乱しています。子どもが「自分の気持ちを感じ、EQを育む」ためには、大人自身も、自分の感情とその奥にある気持ちを把握して、子どもとの関わりを変えていけるかどうかが大切です。

 

―新聞協会のハッピースクラップ帳作りのワークショップを開きましたね。

最近、ウェブで新聞を読んでいる方も多いと思いますが、親が読書家だと子どもも読書好きになるという話もあります。新聞を紙で読んでいる姿を見せることも、子どもにとっては学びがあると思います。スクラップブッキングすることで、新聞に載っている写真が面白いことに気づいたり、親子で話をするきっかけになったり、興味を持った記事に関することをその後自分で調べてみたり、色々なきっかけになると良いなと思っています。毎日図書館に通う感覚で、毎日の新聞で視野が広がり、思わぬ出合いがあると思います。

 

気になった記事を切り取ってノートに貼って、1か月後に見直したら、意外な発見もあるかもしれないし、自分が意外なことに興味を持っていることに気付くかもしれない。そういうことが子どもの学びや視野を広げることにつながると思います。子どもの学びによって、お父さん、お母さんが気付かされることもあるのではないでしょうか。

 

―新聞の魅力は何でしょうか。

ウェブやSNSは個人仕様で便利になりすぎているので、自分の好みの情報ばかりが上がってきて、情報が偏ってしまいます。情報の感度を高く持つためにも、新聞を含めた、様々な媒体を読んで視野を広げることが大切だと思います。また企業の新規参入や業績など、新聞の方が早く情報を手に入れることができると思います。

 

一方で、新聞にすべての情報が載っているわけではありません。ですから、BBCやCNNなど海外メディアの情報も得た方が良いと思っています。世界で流れている情報の7割は英語なので、英語の情報を自分で取れるようにしなければいけないと子どもたちにも教えています。

 

小学校に上がった6歳くらいの子どもは、社会に興味を持ち始める年齢です。世の中で何が起きているのか、どういうふうに情報が伝わるのかも含め、小さな頃から知っておいて損はないと思います。「こども新聞」は字を読む練習にもなりますし、情報取得の仕方を教えるためには一番早いと思います。私にも子どもがいますが、小さな子どもにインターネットの使い方を教えるのはとても難しいことだと思います。インターネットには悪意を持ってウェブを作っている人もいますし、悪影響を与えるサイトもあります。新聞にはそういった問題はないので、新聞を読むのはとてもよい入り口だと思います。まずは子ども新聞を一緒に読み、大人向けの新聞と読み比べたりするのも良いと思います。ハッピーニュースのように、興味を持った記事をスクラップブッキングしたりするのも良いですよね。情報収集先はウェブだけではないし、本だけでもない。新聞みたいな俯瞰性が高いものを使うのはとても良いとだと思います。

 

 

 

 

PROFILE赤井友美

東京理科大学卒業後、株式会社リクルート入社。2006年に社内コンテストで提案・優勝したcsr活動「中学生へのキャリア教育プログラム」のため公立校、私立校に足を運んで活動したことを契機に教育について考えるようになる。その後、教育系npoを設立し、初代理事として活動。12年度末に退職し、13年春、学童保育施設「キンダリーインターナショナル」を立ちあげ、現在に至る。小学生と保育園児、2児の母。

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