by 日本新聞協会
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OUENDAN新聞応援団

2010.01.10 update.

読者はあふれる情報を頭の中で整理するために新聞を読んでいる。

吉松 徹郎 | 株式会社アイスタイル代表取締役社長兼ceo

「インターネットに頼りすぎると、どうしても接触する情報が知りたいと思う情報にばかり偏ってしまうんですね。似たような関連記事ばかりが出てくる。自分の知識の幅を広げるという意味ではネットよりも、やはり新聞だと思う。20ページもめくれば世界中の昨日が見えてくる」。吉松徹郎社長は、新聞記事の優位性をそう話す。

 

新聞記事は社会の注目度を測る尺度でもある。

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吉松さんは、化粧品情報専門サイト「@cosme(アットコスメ)」を運営する株式会社アイスタイルを1999年に立ち上げた。同社は業務に関係した複数の新聞記事をクリッピングして配信を受けるサービスを契約し、毎朝、出社すると必ずチェック。会社として知っておくべき記事を読む。その他の記事は昼休みにゆっくりと目を通すという。
ITを駆使し、情報収集にたけているように思える吉松さんが、なぜ新聞記事を欠かさず毎日、読むのだろうか。
吉松さんは「まず人間が自分で処理できる適切な情報量はおのずと決まっている。それにおおむね合う量だということ。それに同じ新聞の情報でもネットでは記事の価値がどの程度の大きさなのかは分からない。1面と中面と配置される新聞記事は、いろいろ取材している記者が『このくらいのニュース価値だろう』と考えているわけで、社会の注目度を測る尺度でもある」と指摘する。さらに「自分の仕事や趣味の分野に関する記事であればともかく、フラットになったニュースの価値を判断できるほどの情報は普通はない。こうしたギャップは自分の価値判断が社会とずれていることを見つめ直す機会になる」と話した。
「テレビのニュースは、自分の関心あるニュースがあるかどうか30分も1時間も付き合わないといけないが、新聞は関心のある記事へのアクセスも容易だ。考えながら読むべき評論などの記事は自分のペースで読み進めることができる」と付け加えた。

選挙の際に新聞社がサイト上に設けたボートマッチングも面白かった。

新聞との出合いは小学生時代にさかのぼる。プロ野球ファンだった吉松さんは、前夜の野球結果を翌朝の運動面で再確認。新聞の漫画も楽しんだという。中学受験を控え小学校の高学年になると母親の助言で、1面のコラムを読むようになったという。「政治や経済記事は読まなくても、子供なりに読みたい記事があった」と振り返る。
「印象に残った記事というのは政権交代に関係した記事でしたでしょうか。民主党政権の誕生をポジティブにとらえている新聞もあれば、本当に大丈夫なのかと斜に構えているところもあり、面白かった。新聞の多様性ということの意味はここにあるのかもしれない。選挙の際に新聞社がサイト上に設けたボートマッチングも面白かった」。読者が支持する政策を選んでいくと、それに最も近い候補や政党を示してくれるサービスだ。吉松さんは「新聞社ならではのインターネット的な面白さを出した企画だったと思う」と評価する。「プレスリリースのようなファクトはネットにたくさんあるが、新聞の読み方というか、ファクトに意味を加えたり、解釈を与えるという評論力は、新聞記事の方がいいと思う」

新聞界はいま、若手の読者をどう獲得していくかという大きな課題に直面している。20代から30代が社員に多い会社の社長はどう見ているのか。
吉松さんは「若い人は幅広く知識を得て、多くの友人と付き合おうと言うよりも、同じ関心事を共有できる仲間とのつきあいを大切にする傾向がある。あえて言えば専門的な深い情報は必要としても、多様な情報への関心は高いとは言えない」と分析。「若い人から見ると一次情報としての新聞記事は、深くはない上にネット版よりも遅い、という印象があるように思う」と話す。
どんなことを新聞に期待するか。吉松さんは「1面トップ記事は重要な価値があるとか、読者はあふれる情報を頭の中で整理するために新聞記事を読んでいると思う。一覧性のある紙の新聞はそういう人に役立つ媒体であってほしい」と話した。

PROFILE吉松 徹郎

96年東京理科大学基礎工学部卒業。同年アンダーセンコンサルティング株式会社(現アクセンチュア)入社。システムの導入や管理会計など、業務改革に関するビジネスモデルの構築を専門領域とした業務に携わる。99年7月株式会社アイスタイル設立に参画。同年11月コスメ情報専門サイト「@cosme(アットコスメ)」開設にあたりアンダーセンコンサルティングを退社し、アイスタイル代表取締役社長に就任。

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