by 日本新聞協会
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2010.02.01 update.

新聞は記事の優先順位がはっきりしている。世の中の現状を把握するイメージ

粟飯原 理咲 | アイランド株式会社 代表取締役 大阪府出身

女性向けポータルサイトを運営する「アイランド」代表取締役の粟飯原理咲さんは、50分ほどの通勤時間を利用して新聞を読んでいる。「新聞は記事の優先順位がはっきりしている。世の中の現状を把握するイメージですね」。仕事に関係がある生活情報面を中心に目を通すが、実は別刷りの特集記事の方が好きだという。「気になるテーマがこれまでの経緯から今後の展望まで紹介されており、世の中の幅広い層の関心がわかりますから」

 

 

記事から得たヒントはサイト作りにはかなり役に立った。

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学生時代は、ケーブルテレビ局で番組制作のアルバイトをしていた。放送内容に対する反響や生活に与えるインパクトを実感できないまま過ごしていたが、通信会社に就職した1年目、インターネットのあるサイトを見て衝撃を受けた。「世界中の関西出身の人が夜な夜な書き込んでいて、内容もすごくインタラクティブ(双方向的)。鳥肌が立つような感動がありました」。それ以来、ネットで何が発信できるのかを考え続けているという。
アイランドが運営するサイトには、毎日の暮らしを楽しく豊かに過ごせるヒントが詰まっている。料理をテーマとした個性豊かなブログが集まる「レシピブログ」を始め、慌ただしい朝を有意義に過ごすコツが見つかる「朝時間.jp」、とっておきの食品通販情報を紹介する「おとりよせネット」、子育てをしながら自分らしさを追求したい人は必見の「子育てスタイル」――。特に「朝時間.jp」は、新聞の特集記事が開設のきっかけになったという。

ネット調査を基にした記事のテーマは、異性の同僚にかけられてうれしいひと言。女性は「お疲れさまでした」「ありがとう」、男性は「おはようございます」が最も多かったという結果に、粟飯原さんは「あ、すごく面白いなと思って。その記事からいただいたヒントは、サイト作りにかなり役立ちました」。今でも、企画のヒントやプレゼンテーションに新聞は欠かせない。

新聞は、自分たちと世の中の価値観の架け橋になってくれる媒体。

長く親しんできた新聞だが、キャリアを積み重ねていくうちに読み方は変わってきた。就職活動中や社会人1~2年目は、新聞を読んで世の中の動きに追いつこうと必死だったが、今はネットでトレンドを知ることが多い。「新聞は社会一般の感覚がわかるから、自分の中の物差しを直す役目というか。予習から復習のメディアに変わりましたね」

その点、いまの新聞には物足りなさも感じている。「記者の素顔がもっと見える記事があってもいい。キャッチコピーみたいに目を引く見出しもない」。お気に入りの別刷りにも注文があり、「村上春樹さんなどの著名人が自由に編集している特別紙面が土日に届くとか、そういう個性が出てきても面白いなって思うんです」

業界での経験も生かし、新聞とネットとの連動も提案する。「紙面に書ききれない本音はネットで紹介する。記事ごとにQRコードを付け、それを読み込めば新しい展開が始まることも面白いのでは」

自社サイトの利用者でもある女性の多くは、生活に関係する情報を選ぶと粟飯原さんは指摘する。「ファッション誌は自分のコーディネートに役立つかどうか。料理本で紹介されたレシピも、あした作れるのかが大事です」。つまり、自分の暮らしに結び付いていれば分かりやすいという。また、女性はエコに対する関心も高い。「読み終わった新聞を活用したり、同じ紙面を共有できるモデルがあってもいい」

それでは、新聞とネットの違いは何だろうか。「ネットは、自分が情報を発信するだけではなくて、みんなで補完し合える。情報がどんどん発展し、豊かになっていくのを見ているのが楽しいんです」。社名にこめた「創造の宝島」(クリエイティブ・アイランド)という思いが、さまざまなサイトで実現している。

運営するサイトからは、年間で100万部以上も売れる料理本を出版するブロガーが誕生している。「インターネットの登場で、紙の価値は高まったと感じています。ネット上でコンテンツを作る人たちも、活字になることで世の中に認められたと、感慨を持つのです」

新聞やテレビ以外でも様々なメディアを選べる時代にあって、情報の選び方が狭くなっていると粟飯原さんは考える。「若い人は友人やタレントのブログと、好きなテレビ番組だけを見ている。新聞は、自分たちと世の中の価値観の架け橋になってくれる媒体です。新聞を読むことで、社会に出ても価値のある提案や自分の思いを伝えやすくなります」

PROFILE粟飯原 理咲

1996年筑波大学卒業。同年日本電信電話株式会社入社、分割後、nttコミュニケーションズ株式会社先端ビジネス開発センター勤務。2000年株式会社リクルート入社、事業開発室・事業統括マネジメント室勤務を経て総合情報サイト「all about」マーケティングプランナーを務める。03年7月からアイランド株式会社代表取締役。

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