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2009.06.05 update.

新聞は会社の「共通言語」

藤田 晋 | 株式会社サイバーエージェント代表取締役社長 ceo

午前7時すぎ。「朝起きて、そのまま無意識のうちに新聞を取りに行っている。自宅では30分ぐらいかけて読み、さらに通勤途中も読んで、会社に着く前には読み終わるぐらい。習慣ですね」
サイバーエージェント社長兼最高経営責任者(CEO)の藤田晋さんは、一般紙、経済紙、スポーツ紙、合わせて4紙を「まんべんなく、むさぼるように読んでいる」という。

 

新聞をちゃんと読むように社員にも言ってます。

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同社は2009年3月、スタートから11周年を迎えた。設立2年後に、当時史上最年少の26歳で東証マザーズに上場。直後のITバブル崩壊を生き抜き、現在は連結子会社51社を合わせ約2000人を擁する。社員のほとんどが20代から30代前半で、平均年齢28歳。藤田さんは、そんなネット企業のトップだ。会社設立当初からネット上で日記を書き、今も自身のブログ「渋谷ではたらく社長のアメブロ」を続ける、筋金入りのブロガーでもある。
パソコンの画面で、携帯電話で、時間があればニュースをチェックする「ニュース中毒」。そして新聞も、毎日欠かさず読むという。「新聞をちゃんと読むように社員にも言っています」
「経済新聞を読んでいないと、ビジネスマンとして会話ができない」。大学時代、アルバイト先企業の上司に言われてから、意識的に読むようになった。
ニュースはネットで十分、という人もいる。だが藤田さんは、「新聞は、全くの別物だと思っている」。新聞は、政治、経済、社会、と世の中を俯瞰してみることができる。特に関心のない分野のニュースも、ページをめくれば自然と目に入ってくる。
ネットの情報は、利用者があらかじめ興味や関心を持ってアクセスする。「だから、関心のないニュースはクリックしない。その結果、自分の興味の分野に片寄ってしまい、関心の幅も広がらない。そして、大事な情報がスッポリ抜け落ちている危険がある。しかも、それを本人が気付いていない」
藤田さんは、ビジネスの相手が社会常識的な話題も知らないようだと、「新聞を読んでいないんだな」と思ってしまう。「その時点で、ビジネスの話をするのはやめたくなります」

自分の視点で読み、自分で考えるくせをつけることは必要。

ビジネスの判断をする時、最後は自分自身に問いかけ、結論を出す。「その下地として、世の中で起きている状況をちゃんと理解していないと、判断を間違ってしまう。自分の興味があることだけでは、お客さんの本当の気持ちは分からない」。みんなが読んでいて、みんなが知っている情報を理解する。その意味で、新聞は社会の「共通言語」だと思っている。
では、藤田さんから見た、新聞の強みとは。
「コンテンツ力、信頼性、記者のレベル。ネットで流れているニュースも、結局は新聞社がつくっているものだから」
ただ、若い人が新聞を読む時に、気をつけて欲しいことがある。「新聞は信頼できるメディアではあるけれど、教科書じゃない。ニュースの価値判断を間違っていることも、あるかもしれない。うのみにするのではなく、自分の視点で読み、自分で考えるくせをつけることは必要」
メディアとしての新聞に、どんな未来が見えるか。ひとつの可能性として、「ネットとの融合」が言われる。しかし、藤田さんは懐疑的だ。「融合ではなくて、ネットは、新しい別のメディアとして取り組むべきもの。新聞が読者と向き合うように、ネットの利用者ときちんと向き合えば、全然違うコンテンツをつくらなければならないことが分かってくるはず。新聞の業界から見える景色と、ネットから見える景色は違う」
新聞を取り巻くビジネス環境は厳しい。
「新聞に期待することは、どんな環境の変化があったとしてもコンテンツの質を死守すること」と藤田さん。「だが、新聞がなくなることは絶対ないと思っている。少なくとも、自分が仕事をしていく上で、新聞がなくなっては困る」

PROFILE藤田 晋

1997年3月青山学院大学経営学部を卒業。同年、株式会社インテリジェンス入社。98年3月株式会社サイバーエージェントを設立、同社代表取締役社長就任。2000年3月東京証券取引所新興企業市場マザーズに上場。著書には「藤田晋の仕事学」(09年/日経bp社)などがある。

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