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子どもを伸ばす台所 まぜる・むく…忍の一字で見守る 繰り返し体験、育つ自立心

朝日新聞社 | 2017年11月28日掲載

子どもを伸ばす台所 まぜる・むく…忍の一字で見守る 繰り返し体験、育つ自立心

 台所しごとは、子どもの自立心を育む最良の場。でも、いざ一緒に作業をしようとすると、親はハラハラしたりイライラしたり。つい叱って終わってしまいがちです。どう見守ればいいのか、大阪府茨木市で子どもに料理を教えている石井由紀子さん(47)に聞きました。

 子どもには、「たたく・つぶす」「まぜる」「むく・まく」「切る」「食器を出す」「盛り付ける」「運ぶ」「洗う」と、動作を区切って任せるといいでしょう。

 小学校にあがる前の多くの子どもにとって、料理の完成が目的ではありません。興味のある動作を反復し、身に着けることがゴールなのです。

 あれもこれもしようとすると長続きしません。「まぜる」ことができたら、「むく」に挑戦。ほぼ毎日台所しごとをする場合は、炊飯を任せるのも一案です。

 大人の心得は(1)よく台所しごとを見てもらう(2)ゆっくりとやってみせる(3)黙って忍の一字で見守る、の三つ。結果よりもプロセスを大事にしてください。自分の意志でやりとげる楽しさを、子どもは心身で体験していきます。

 手つきはおぼつかなく、ゆっくりかもしれませんが、意図が間違っておらず、鍋をひっくり返すなどの危険がなければ、じっと見守ります。

 動作に興味津々の子どもは、作業が終わっても、繰り返し続けることがあります。「意味がない」と考えてやめさせると、とたんにやる気を失ってしまうか、抵抗して作業を続け、手がつけられなくなってしまいます。

 例えば、子どもはぐるぐる混ぜ続ける動作が大好きです。みそをだし汁でのばす作業を頼んだ時、いつまでも混ぜていても、自分からやめるまで続けさせてください。

 実は、子どもは自発的に「おしまい」を決められます。すると納得し、満足してまた別の動作に興味を持つことができます。

 「包丁は何歳から使わせていいですか?」とよく聞かれます。2歳ですっとキュウリを切る子もいれば、5歳でおぼつかない子もいます。年齢より、普段の生活で培われた身体能力と、危険を察知できる力に応じて判断します。

 大人と同じ形で、両刃のよく切れる包丁を使いましょう。刃渡り10~12センチがお勧めです。軟らかいキュウリから始め、十分に慣れてきたら硬いニンジンなどに挑戦してください。

 「指が切れるから絶対に刃に触らない」と危険な点を具体的に伝えます。「持つところはここだよ」「食材が動かないよう手でしっかり押さえてね」と指示します。

 包丁もそうですが、道具は子ども用が必ずしも良いとは限りません。私は食器もできるだけ陶器やガラスを使います。子どもが扱えるかどうかで選びます。モノの扱い方は、体で覚えてもらうのが一番です。

 また、身体をなめらかに使いこなせるよう、日常の小さな動作を大切に。ビンのふたを開ける。捕らえにくいおかずをすくう、口に運ぶ……。最初から手助けせず、できる限り自力でさせましょう。

 台所しごとの中で様々な動作がつながり、ご飯という形になり、食べた人が喜ぶ。この経験の繰り返しを、時間をかけて楽しんでください。親はじっと耐え、楽しく観察した先に、子どもの自立とより深い喜びがあると思います。

 (聞き手・山内深紗子)

    ◇

 石井さんは2008年、子どもに料理を教える「こどもキッチン」(大阪府茨木市)を設立。今年9月に「こどもキッチン、はじまります。 2歳からのとっておき台所しごと」(太郎次郎社エディタス、税抜き1600円)を出版した。

 【写真説明】

石井由紀子さんがゆっくり作業の手本を見せると、子どもたちは集中して聴き入る=大阪府茨木市、こどもキッチン提供

承諾番号18-0249

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VOICE!応募作品から 30代 女性 主婦 栃木県

 「子どもを伸ばす台所」というタイトルを見て、6歳の息子のことを考えた。我が家の夕方は、とても忙しい。私は夕食の用意、小学生の姉は宿題をやるので、息子にかまっていられない。いつの間にか、「僕もご飯作る」と言い出した。
 正直言うと、一人で食事を作った方が効率がいいので、「テレビでも見ていれば」と言いたかった。しかし、小さい頃から包丁に慣れておけば、将来ご飯を作ってくれるようになるかもしれない。淡い期待と大きな不安を抱え、包丁を持たせた。
 見ると、いつか指をまっぷたつにしてしまうのではないかとハラハラする。手を丸める「猫の手」を教えても、いつの間にか開いている。いつもの倍の時間がかかって作ったカレーは、ごろごろのニンジンとジャガイモが入っていた。それでも、キラキラした目の息子にとっては、料理男子に成長するまでの特別な時間なのかもしれない。そう思うと、口元が綻ぶのである。

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