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2017.11.09 update.

カズオ・イシグロ氏、文学賞 ノーベル賞、長崎出身日系英国人 「日の名残(なご)り」「わたしを離さないで」

朝日新聞社 | 2017年10月6日掲載

カズオ・イシグロ氏、文学賞 ノーベル賞、長崎出身日系英国人 「日の名残(なご)り」「わたしを離さないで」

 スウェーデン・アカデミーは5日、2017年のノーベル文学賞を長崎出身の英国の小説家、カズオ・イシグロさん(62)に授与すると発表した。賞金は900万スウェーデンクローナ(約1億2500万円)。授賞式は12月10日にストックホルムである。▼13面=アカデミーのコメント、35面=作風は

 発表の瞬間、会場の報道陣から驚きの声が漏れ、拍手が続いた。授賞理由は「人と世界のつながりという幻想の下に口を開けた暗い深淵(しんえん)を、感情豊かにうったえる作品群で暴いてきた」とされた。アカデミーのサラ・ダニウス事務局長は「ジェーン・オースティンとフランツ・カフカをまぜるとカズオ・イシグロになる。そこにマルセル・プルーストを少し加えなければいけない。彼は非常に誠実な作家で、彼自身の美学の宇宙を作り上げた」とたたえた。

 イシグロさんは「全く予想しておらず、驚いています。今、世界はその価値やリーダーシップ、安全について不確実な時代を迎えています。たとえささやかな形でも、この時代の善意や平和を後押しする力になることを願っています」とコメントを出した。

 イシグロさんは1954年、長崎市生まれ。日本名は石黒一雄。5歳の時に海洋学者の父の仕事の都合で一家でイギリスに移住し、83年に英国籍を取得した。

 82年の長編デビュー作「遠い山なみの光」で、王立文学協会賞を受賞。続く「浮世の画家」(86年)でも戦後の日本を舞台に、日本人を主人公に描いた。

 名を世界に広めたのは、英国で最も権威あるブッカー賞を受けた「日の名残(なご)り」(89年)だ。貴族につかえる執事の人生をつづり、英国を代表する作家になった。映画化され、アカデミー賞8部門にノミネートされた。

 カフカ的不条理に放り込まれたピアニストが主人公の「充(み)たされざる者」(95年)、日中戦争下の上海を舞台にしたミステリー仕立ての「わたしたちが孤児だったころ」(00年)と新境地を開拓した。

 05年の「わたしを離さないで」は、臓器を提供するためにクローン技術で生まれた若者を主人公にし、大きな反響を呼んだ。「人間の本質とは何かを描きたかった」という。

 15年の「忘れられた巨人」は、伝説の英雄アーサー王が死んだ後のイングランドで、竜が吐く霧のせいで記憶を失った老夫婦が旅をする。朝日新聞のインタビューに「夫婦の記憶の話であると同時に社会の記憶の物語でもある」と語った。

 昨夏の英国の欧州連合(EU)離脱を決めた国民投票について、英紙に「怒り」を表明。国が分断されるとの危惧を訴えるなど政治的な発言もしていた。(下司佳代子=ストックホルム、編集委員・吉村千彰)

■主な作品
・遠い山なみの光(1982年)=英・王立文学協会賞
・浮世の画家(1986年)
・日の名残(なご)り(1989年)=英・ブッカー賞
・わたしたちが孤児だったころ(2000年 
・わたしを離さないで(2005年)
・忘れられた巨人(2015年)

【写真説明】
5日、ノーベル文学賞受賞が決まり、ロンドンの自宅前で取材に応じるカズオ・イシグロさん=AP

承諾書番号17-5748

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VOICE!きなこ 21歳 大学生 東京都

 速報を聞いた時、最初は「日本人?あれ、外国の方?」とうれしさもありながら戸惑いました。ですが、この記事を見てカズオさんが日本の長崎で生まれ育った方だと知り、日本人として喜ぶべきニュースであると確認できました。毎年、ノーベル文学賞の時期になると村上春樹さんが候補者として挙がり国民の多くが期待を寄せますが、今年は村上さんでないにしろ日系の方が受賞されたことは大変喜ばしいことだと思います。手に取って読んでみたいものです。

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