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2017.10.18 update.

失明乗り越え教壇返り咲く

産経新聞社 | 2017年9月28日掲載

【夢、叶う 障害者雇用支援月間】㊦ 全盲の中学校教諭 新井淑則さん(56) 失明乗り越え教壇返り咲く 埼玉

34歳で失明しながら、地道に努力を積み重ねて教壇に返り咲いた。皆野町立皆野中学校(同町皆野)の国語科教諭、新井淑則教諭(56)。障害のある教師が働き続けるための条件整備や環境整備を支援する活動を続け、昨年、「第10回塙保己一賞」の特別賞を受賞した。生徒からは「見えてるかのように授業していてすごい」と驚嘆の声が上がっている。
◆「いい前例を広めたい」
「発表してくれる人?」。そう生徒に促すと、何人かの生徒が手を挙げた。
中学1年の国語の授業。「星の花が降るころに」(安東みきえ作)に出てくる主人公の心情を考える課題だ。ギンモクセイの下で友情を誓い合った友人と疎遠になった主人公が、ギンモクセイが毎年、葉を付け替えていることを知り、心境が変化する物語だ。
「私はギンモクセイの木を見上げた。私もギンモクセイのように新しい自分を見つけた。そして新しい道を進む」。発表する生徒に「前向きだよね」と声をかける。生徒と言葉のキャッチボールをしながら、授業は進んだ。
教室には新井教諭の他に2人の教師がいた。1人は同校の教員で、もう1人は県から派遣されたティーチングアシスタントだ。昨年施行された改正障害者雇用促進法の合理的配慮に基づき、新井教諭が県に依頼してきてもらった。「同じような境遇の先生のために、いい前例を作って広めたい」と話す。
◆「死にたいなら…」
3人いる姉全員が教師になっていたこともあり、自然と教師の道を志した。サッカー部の顧問として生徒たちと走り回り、活発な教員生活を送っていたが、28歳ごろから網膜剥(はく)離(り)を繰り返すようになり、34歳で失明した。
先の見えない毎日。家に引きこもって泣きながら過ごした。そんな生活が半年近く続き、やがて「死にたい」と口にするようになった。それを聞いた妻の真弓さんから「そんなに死にたいなら家族5人で死にましょう」と言われた。「苦しいのは自分だけではない」と痛感し、リハビリに打ち込み始めた。
◆全身全霊をかけて
リハビリを始めて、同じ苦しみを共有する仲間ができた。車の運転など「できないこと」ばかり意識していたのが、「歩行訓練でここまでできるようになった」と、「できること」を意識するようになった。
しかし、復職となるとハードルは高かった。「通勤中に事故があったらどうするか」。心配する声は尽きなかったが、当時70歳を超えていた父親に付き添ってもらい、平成11年に復職した。周囲に支えてもらいながら教壇に立った。
「目が見えないことで、多くの人の優しさを見ることができた。そういう経験を伝えていきたいし、生徒が卒業してつまずいたら、中学に全盲の先生いたな。あの人だったらどう考えるだろうと思い出してもらえれば」。全身全霊をかけて教鞭(きょうべん)をとる。
                     ◇ 
この企画は、川上響が担当しました。

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VOICE!ナツ 22歳 大学生 東京都

記事の導入の通り、新井さんの全盲でも前向きに教鞭(きょうべん)をとる姿勢は生徒の目に強く光って見えていると思う。障害がある故に生徒や周りの人に向ける言葉に説得力が生まれ、逆に新たに見えた優しさが記事から伝わり、同じような境遇の人も安心できるのではないかと考えた。

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