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2017.12.07 update.

日本兵の「お礼」遺族へ

西日本新聞社 | 2017年9月20日掲載

日本兵の「お礼」遺族へ

●ミャンマー

 太平洋戦争中、福岡県久留米市で編成された陸軍第18師団(菊兵団)の一員としてビルマ(現ミャンマー)へ渡った同県出身の兵士が、看病してくれたお礼として現地の人に贈った手作りのたばこケースが、ミャンマーで見つかった。受け取ったビルマ人女性が「いつか兵士のご遺族へ返したい」と子から孫へと3代引き継ぎ、保管していた。たばこケースの存在を知った遺族は「70年以上も大切に保管していただき、ありがたい。現地に受け取りに行きたい」と話している。

筑前町出身男性 手製たばこ入れ

看病したミャンマー女性の孫 保管

 たばこケースを贈った旧日本兵は、福岡県筑前町(旧朝倉郡三輪村)出身の山口隆さん。終戦前、カンバル地方で病気をして下痢になり、苦しんでいたところ、ビルマ人女性から看病を受けた。その際、お礼に渡すものが何もないからと、ヤシの実を削って作った手作りのたばこケースを女性に手渡したという。

 ケースには「山口隆 菊八九〇六部隊 南海派遣 CIGARET KESU」と刻まれていた。その後、山口さんは1945年2月、ビルマのカズンで、24歳で戦死した。

 女性はこのケースを大切に保管。ミャンマー中部に位置する第2の都市、マンダレーに住む女性の孫、チ・ルインさんに引き継がれた。チ・ルインさんは旧日本兵の遺族がミャンマーに慰霊に来るたびに、現地のガイドを通じ、山口さんの遺族を捜し続けていたという。

 菊兵団に所属していた父親らの慰霊のため2010年にミャンマーを訪れた三宅清一郎さん(78)=福岡県八女市立花町=が現地のガイドからたばこケースの話を聞き、チ・ルインさんと面会。その思いをくみ取って、帰国後に遺族を捜し始めた。昨年末、たまたま目にした日本遺族会の機関紙で山口さんの名前を見つけたことをきっかけに、山口さんのめい2人が福岡県内にいることが判明。今年3月、めいの佐伯郁久子さん(66)=同県久山町=と小野由美さん(60)=福岡市中央区=と会い、話を伝えた。

 三宅さんは「チ・ルインさんの話を聞いたとき、ミャンマーの人々の温かさに感激して、涙が止まらなかった。ご遺族がなかなか見つからず、諦めかけていたが、たくさんの方々のご協力を得て、見つかってうれしい」。山口さんのめいの佐伯さんは「叔父は手先が器用な人だったと聞いている。近くミャンマーへ行ってお礼を言い、たばこケースを受け取りたい」と話した。 (本田彩子)

【写真説明】

山口隆さん(遺族提供)

祖母、母と引き継ぎ、70年以上にわたり保管してきたたばこケースを持つチ・ルインさん

山口隆さんが看病してくれたビルマ人女性に贈った、ヤシの実で作ったたばこケース(いずれも三宅清一郎さん提供)

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 私の伯父もビルマで戦死したと母から思い出話としてよく聞かされる。遺骨はなく戦死地の石が一個、そして柔和で明るい感じの写真が一枚残されているだけで、無事戻れたなら勉強して医師になりたいと願っていたとのこと。思いはかなわず無念だったと感じるだけに、特にビルマ戦死者の記事を拝見する度に胸がつまる。しかしこの記事には、悲しみとともに、日本人兵士とビルマ女性の温かい交流が、手づくりのたばこケースによって今によみがえってきたようで、感動と同時に心温まる思いにさせられた。そして絶対に戦争をしてはならぬと強く感じ入った。

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