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2017.08.02 update.

想像とのギャップ楽しみ20年

毎日新聞社 | 2017年6月28日掲載

ハマりました。:珍地名巡り 想像とのギャップ楽しみ20年
南太平洋に浮かぶ「エロマンガ島」という島をご存じだろうか。北海道由仁町を流れる「ヤリキレナイ川」は? 東京都品川区の会社員、安居良基(やすいよしき)(ペンネーム・あんきょよしもと)さん(43)は、国内外にある珍しい地名を訪ね歩いて20年になる。

今月3日、北海道南西部の上ノ国町。海沿いの道に設置された小さなバス停で、さびついた標識と並んで記念撮影する安居さんの姿があった。バス停の名は「木の子」。一帯の地名でもある。「山村をイメージしていたのですが、行ってみたら漁村でした。こういうギャップが面白いんですよね」
2泊3日の週末旅行。他に道内の「ワルイ川」「股下山」などを巡り、「制覇」した珍地名はこれで国内349カ所、海外47カ所となった。
子どもの頃から地図が好きだったが、傾倒するきっかけは高校時代にあった。私立の名門、開成高(東京)1年だった安居さんは、地理の試験で出題された島の名前が分からず、空欄を作るまいと「エロマンガ島」と書いた。しかし、「ふざけた回答」と感じた教諭は激怒。「とてもまじめだった」という安居少年は地図帳を手に、エロマンガ島が南太平洋のバヌアツに実在することを力説した。教諭は怒りも忘れ、感心したという。
そして大学生になると、実際に旅を始めた。1996年にオランダのハーグにある「スケベニンゲン」、翌年にはオーストラリアのクイーンズランド州南西部「エロマンガ」を友人たちと巡った。
一般的な観光旅行と違い、たいていの目的地はへんぴな場所にある。エロマンガの時は、日本からの直行便があるブリスベンから、1053キロの距離をレンタカーで2日間かけて移動した。「運転の疲れもあって、『エロマンガまで○キロ』という標識が見える度に車内は異様に大興奮。到着し、エロマンガカフェでエロマンガワークスというハンバーガーを食べた。かつてない幸福感でしたね」。こうして、珍地名巡りをライフワークとすることを決意した。
マレーシアのパンティ、米国のオナラスカ、韓国のハナゲ海岸……。分厚い地図帳の索引をひき、面白い地名を見つけては足を運んだ。2000年に大手電機メーカーに就職後は、休みとあらば国内のあらゆる場所に出かけた。群馬県富岡市の南蛇井(なんじゃい)、愛媛県宇和島市の土居中(どいなか)、山口県長門市の向津具(むかつく)……。訪れた地名と写真をアップしたホームページが話題になり、09年には珍地名を集めたガイドブックを出版した。
旅の最大の魅力は、行く先々でのちょっとした発見や出会いだ。02年の正月休みに念願だったバヌアツのエロマンガ島に行った際は、村長さん宅の離れに泊めてもらい、新年を祝う村の祭りにも参加した。近年、グーグルのストリートビュー機能などを使えば、世界中の様子を簡単に見ることができる。しかし、「その街の空気や人の雰囲気は、実際に行ってみないと絶対に分からない。ネットで『行った気分』になって満足するのはもったいない」と、安居さんは力を込める。
来月は新潟県新発田市の「〆切」を訪ねる計画だ。20年続くこの旅、そろそろ「ネタ切れ」になることはないのだろうか。「アフリカの内戦地域など、行きづらい場所にまだまだ珍地名が眠っているんです」。そう話す安居さんの目が少年のように輝く。「ギニアのボケ、スリナムのアフォバッカ、それから……」。旅は続く。地球上に、珍地名がある限り。【曹美河】
=次回は7月12日掲載
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◇やってみる? Let’s try!
「あなたの街の近くにも必ず珍地名はある」と安居さん。地図帳を眺めたり、インターネットの地図検索で思いつく単語を入れてみたりして探す。目的地が決まったら、どんな場所かあえて調べずに向かうのがおすすめ。着いたら地名入り看板を探し記念撮影。長く続けるには、休みをもらえるよう「職場へのお土産も大事です」。
■写真説明
<上>北海道上ノ国町のバス停「木の子」で記念撮影する安居さん=6月3日撮影
<右>北海道由仁町のヤリキレナイ川。就職後は長期の休みがなかなか取れず、やりきれない思いをした=2004年9月撮影
■写真説明
<右>オーストラリアの「エロマンガ」。地名が書かれた看板の前で、満足そうな笑みを浮かべる学生時代の安居さん=1997年11月撮影
<左>バヌアツのエロマンガ島で、島民と共に新年を祝う安居さん(中央奥)。「別れ際は目頭が熱くなった」ほど、貴重な出会いを体験した=2002年1月撮影、いずれも安居さん提供

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VOICE!ごとー 21歳 大学生 東京都

地理にもあまり関心がなく、旅行好きというわけでもない私ですが、「なんだこの面白すぎる地名は!行ってみたい!」と終始笑いながら読んだ記事でした。行き先を選ぶ方法も、楽しみ方も、ガイドブックなんかにとらわれなくていいんだ!と、わくわくしました。落ち込んだ時は、一人で北海道のヤリキレナイ川でたそがれたりしてみたいですね。

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