by 日本新聞協会
BACK INDEX

HAPPY NEWSハッピーニュース

2017.08.04 update.

リフレッシュ 介護付きの旅

中日新聞社 | 2017年5月1日掲載

リフト付きバス 大浴場貸し切り リフレッシュ 介護付きの旅 JA知多が参入 好評

介護が必要な高齢者や障害者に、旅行サービスを提供する事業者がじわりと増えている。JAあいち知多(愛知県常滑市)では、全国のJAで初めて介護付き1泊バス団体旅行を始めた。運営する福祉施設の利用者が対象で、参加者は歩行や入浴に介護が必要で以前は遠出の旅行をあきらめていた人ばかり。担当者は「旅行を、身体の機能回復につなげてもらいたい」と話している。(小西数紀)
同JAは、知多半島内で訪問介護やデイサービスを提供する五つの福祉施設を運営。介護旅行は、二〇一五年十一月の大津市を皮切りに、一六年六月には岐阜県高山市へ出掛けた。各回とも八十~九十代の施設利用者と家族計二十五人ほどが一泊の旅行を楽しんだ。
特に好評だったのが、ホテルの大浴場での入浴。「本当に入れるとは思っていなかったようで、涙を流して喜んでくれた人もいました」と同行したJAあいち知多の担当者は振り返る。
参加者は、足腰が悪かったり体力に不安があったりと皆介護が必要。入浴時間は浴場を貸し切り、旅行に同行する施設の職員が入浴を手助けした。
JA職員は、万一の事故を防ぐため細心の注意を払う。ルートやホテルは事前に下見。当日は普段から参加者に接する施設の職員が同行し、旅行先のJAのボランティア組織もサポートする。看護師が健康状態をチェックし、寝る時も参加者を一人にしない。移動に使うバスも、車いすが簡単に乗り込めるリフト付きの特別車を仕立てた。
参加者や介護する家族は当初、一泊旅行は無理とあきらめていた。初回募集では「迷惑がかかる」と、二の足を踏む人が多く、職員が家族を説得して参加してもらった人もいたという。
しかし、旅行が始まると、家族や職員は参加者の元気な姿に驚かされた。旅行の発案者の山口清隆常務理事は「普段は小さく刻んだものしか食べられない人が、少し大きなものも食べられた。土産物屋でも目の色が変わって、どこにそんなパワーがあったのかというほどだった」と振り返る。
安全に旅行ができると評判が広まり、通常の旅行より一泊五万円前後と割高だが、次回の旅行を楽しみにする人が増えた。五月には石川県を訪れる旅行を企画中だ。ほかのJAからも問い合わせが相次いでいるという。山口常務理事は「参加者に『次も行きたいから元気になりたい』という気持ちを起こしてもらいたかった。ゆくゆくは、海外旅行も」と期待している。

リフト付きバスに乗り込む参加者=愛知県内で(JAあいち知多提供)

ヘルパー資格取る添乗員も

東京オリンピック・パラリンピックを前に観光庁は、高齢者や障害者など誰でも旅行しやすい環境をつくる「ユニバーサルツーリズム」の普及を目指す。昨年には障害者差別解消法も施行され、旅行時の介護に必要な知識や技術を持つ「トラベルヘルパー」を養成するNPO法人日本トラベルヘルパー協会(東京都)は「これまで旅行をあきらめていたような高齢者に旅行を楽しんでもらう取り組みが旅行会社や福祉施設で広がっている」と指摘する。
同協会によると、かつては介護施設の職員や医療従事者がこの資格を取ることが多かったが、近年は旅行会社の社員や添乗員らが取得するケースが増加。協会の関連企業と提携してトラベルヘルパーの派遣を受ける旅行会社もある。
ただ、宿泊施設側のバリアフリー化が遅れていたり、介護旅行専門会社やサービスを提供するNPO法人の認知度が低いことなどが課題だ。
体が不自由になっても、墓参りや思い出の地を訪れる旅行の需要は多い。同協会の篠塚恭一理事長は「寿命が延びていく中、介護を受ける側にとって旅行を楽しみにすることは生活の質を向上させるし、介護する側の働きがいにもつながる」と話している。

この記事でHAPPYな気持ちになったら

VOICE!応募作品から 30代 主婦 愛知県

私は病院や介護老人保険施設で働いていた介護福祉士です。施設では、医療依存度の高い利用者に関わり、病棟では脳卒中などの患者が自宅へ帰れるようにリハビリを行っていました。
若い頃を振り返ると、仕事が大変なうえ職員が足りず、患者の「病気になる前の生活」に向き合う余裕などありませんでした。それは事故が起こらず安全に1日を終えることに満足し、患者を理解することから目を背けていたと思います。
経験を重ねて中堅となった今、私は患者や利用者と家族が外出することは大切だと考えています。自宅と病院、施設を行き来する生活を送る高齢者が買い物に出掛けたり、また家族も、介護職員が同行する旅行であれば安心で、楽しみも増えるだろう。ありそうでない画期的な企画をしており、私自身が"介護"について考える機会となりました。介護を受ける人は「弱者」のレッテルを張られがちですが、楽しみを持って生活してほしいです。

HAPPY NEWS SHARE RANKINGHAPPY NEWS facebookシェア ランキング

RECOMMEND“よんどく!”おすすめ記事

ハッピーニュース2016発表新聞社のNIB出前授業18歳選挙ハッピーニュース2017募集中!スペシャルインタビュー