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2017.05.16 update.

つかめ 人生の切符を

毎日新聞社 | 2017年4月17日掲載

おんなのしんぶん・MyWay:わたしの生き方 つかめ、人生の切符を タレント・はるな愛さん

小さい時から、女の子の遊びが好きでした。「リカちゃん人形が欲しい」と親に言ったら、「あんたは男やろ」と怒られましたね。親戚が買ってくれましたが、親に見つかって全部捨てられました。女の子っぽいことをする私が不安だったんでしょうね。

幼稚園の卒園が近づき、祖母とランドセルを買いにデパートへ行きました。「赤いランドセルを買ってもらえるかな」と期待しましたが、買ってもらえたのは黒で、爆弾が落ちるぐらいの衝撃を受けました。「この色の重みをこれから背負って生きていかないといけない」。かなりショックでした。

心は女の子なのに、人から見たら男の子。小学生の頃から自分の将来が不安で、授業が手につきませんでした。女の子になれるのか……そんなことばっかり考えていましたね。

中学生になったら、ひどいいじめに遭いました。「消えろ」とか、悪口が書かれたノートが出回りました。先生も同級生も誰も守ってくれませんでした。

「何のために生まれてきたんだろう」。いじめられる苦しみと性の悩みが絡み合い、命を絶つことも考えました。

でも今思うと、私は本当の自分自身を偽って、不安を押し隠して、格好つけていました。自分に自信をもてるようになったら、いじめは終わりました。

自信をもてたのは、ニューハーフの人との出会いが大きかったです。「男として生まれてきたのに女になって、こんなに明るく生きている人がいるんや」と思いました。中学生なのに、その人がいるお店に出入りし、好きな人ができました。

会いたくて学校をサボる。公衆電話から学校に電話をかけて、母の声をまねして、「大西を早く帰らせてください」と言うんです。でも何回も続くから怪しまれて、ばれましたね。「もう偽るのはやめよう」。性的マイノリティーであることを父に告白しようと決めました。

ファミリーレストランに父を呼んで、「女の子になって自分の人生を生きていきたい」と伝えました。息子の口から父が一番聞きたくなかった言葉だったはずです。父は突然、フォークをテーブルに突き刺し、大粒の涙を流しながら「分かった。とことんやれ、絶対に後悔するな」と言ってくれました。

とにかく女の子になりたくて、本来は週1回のホルモン注射を週3回打つぐらい必死で。91年に性別適合手術を受けました。

女の子のアイドルとして芸能界で働きたかったのですが、そんな仕事は本当に可愛い子がやるわけです。食べていくために東京・三軒茶屋でバーを始めました。「私の良さってなんだろう」って考えて、「可愛い女の子」というプライドを捨て、ニューハーフという事実に向き合わないといけないと思いました。

どんなに逃げても、自分からは逃げられない。逃げても始まらないんです。世の中で大変な思いをしている人には、悩み悩んで動けない時こそ、「そこから動いてみて」と伝えたい。居場所が見つかります。

つらいことにしっかりと向かい合って、自分の中から押し出すように答えを探してほしい。次のステージに立つ切符になるから。つらいことは、切符を手にするチャンスになるから。私もこれからつらいことはあるでしょうが、世界に向けて仕事をすることを目標にやっていくつもりです。【聞き手・坂根真理】

■写真説明=東京都世田谷区の撮影スタジオで、猪飼健史撮影

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VOICE!ごとー 21歳 大学生 東京都

はるな愛さんのことは、テレビで見かけてなんとなく知っている程度でしたが、この記事を読んでとても素敵な方だとあらためて知りました。自分の性に対して違和感を感じていない人でも、自分らしく生きていくことは簡単ではないと私は思います。そんな中で、つらい経験にもくじけずに、自分らしく生きることを諦めなかった彼女は、今本当にキラキラ輝いて見えました。

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