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牛も褒めて伸ばす時代?

日本農業新聞 | 2016年10月27日掲載

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朝の「おはよう」が、牛の乳量アップにつながることを、北海道中標津町で酪農ヘルパーに従事する小塩遥夏さん(24)が突き止めた。乳牛に優しく声を掛けたり、なでたりと優しく接した方が乳量が増え、たたいたり大声を上げたりすると乳量が減った。搾乳に慣れていない1産目の牛ほど、乳量に影響を与える度合いが大きいことも分かった。成果は英国で今夏開かれた第50回国際応用動物行動学会で発表。牛に優しく接する試みは、地域にも広がり始めた。

小塩さんは、宮城県出身で実家は農家ではない。きっかけは帯広畜産大学に入学し、サークル「うしぶ。」に入ったことだった。搾乳するためにミルキングパーラーに牛を追い込むとき、大声で「ほーれ」と怒鳴ったり、強く牛をたたいたりする仲間を見て、「何でもっと優しい対応ができないんだろう」と違和感を持った。この疑問が研究テーマにつながった。

67頭を分析

卒業論文は「人と乳牛の関係~作業者の気分と行動が乳牛の行動と乳生産に及ぼす影響」。同大学の農場で飼育していた搾乳牛67頭を分娩(ぶんべん)産次ごとに三つのグループ(1産目26頭、2産目21頭、3産目以上20頭)に分け、2014年4、5月の計34日、朝の搾乳現場をひたすら観察し、分析した。

牛を待機場から搾乳施設のパーラーに移動させる際に、作業者が牛を「たたく、押す」などのネガティブ行動や、「おはようと声を掛ける」「なでる」といったポジティブ行動の有無や回数、それに伴う乳量への影響を分析した。

それぞれ三つのグループの乳量を比較したところ、1産目と2産目の牛ほど優しい声掛けなどに反応し、乳量が増えたことが分かった。

“対話”が鍵

1産目の牛では、なでるなどのポジティブな接触が1度増えると、1頭当たり1回の搾乳で計算上、約600ミリリットル増える傾向があった。一方、大声で追い立てるなどネガティブ行動を受けるたびに、同425ミリリットル乳量が減る傾向があった。

小塩さんは、施設環境や管理法が乳牛に与える重要性は広く認識されているが、人と乳牛の関わりの大切さは認識が薄かったと分析。「ネガティブな行動は完全になくせないが、むやみに叫ばず“おはよう”など牛とのコミュニケーションを取ることが生乳増産につながる」と笑顔を見せる。

小塩さんの成果はヘルパーの間にも浸透し始めた。小塩さんが所属する酪農ヘルパー会社の(有)ファム・エイで管理部長を務める釼持康一さんは「私たちは牛を経済動物と捉え、生きているということをどこか忘れてしまっていた。酪農家の財産を扱う会社として、優しく牛に接することの大切さをいまさらながら小塩さんが教えてくれた」と実感。6月には小塩さんを講師に、全社員を対象にした講習会を開き「牛への接し方を通してサービス向上につながった」と確信する。

写真説明:牧場で牛に優しく声を掛ける小塩さん(北海道標津町で)

英国の学会で発表したパネル(縮小版)

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玉葱農家です。毎日、牛乳を欠かしません。日本農業新聞平成28年10月27日付総合・社会面記事「『おはよう』の一声で 乳量アップ 酪農ヘルパーが発見」に「えっ」と声をあげ、うれしくなりました。北海道標津郡標津町で撮った小塩遥夏さんの笑顔から牛の笑顔も私につたわってきます。人も牛も生存に必要な食、水、医療。人は言葉を話せますが、牛は「もう」しか言えません。私が小学生の頃、車も農機もなく牛が農耕に大切な役目を果たしました。周囲が農家ばかりだった私は農家のおじさんがリヤカーに乗って牛の手綱を引きながら田んぼに向かう、平和な光景を思い出します。でこぼこ道でも牛は何も言わず、おじさんが優しく手綱を引いたから牛にとって最高の歩みだったのです。日本農業新聞に感謝の気持ちでいっぱいです。その頃は父も母も元気でした。総合・社会面の写真と記事から、「牛にも人の心がつたわる」と気づきました。

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