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2016.06.27 update.

ホームレス撮影20年 一人一人に向き合って

愛媛新聞社 | 2016年6月6日掲載

ホームレス撮影20年 写真家高松英昭さん 一人一人に向き合って 路上に座り関係を築く 貧困問題考える糸口

ホームレスの人たちを20年以上にわたり撮影してきた写真家がいる。高松英昭さん。偏見や差別の対象とされがちな存在と向き合い、「どうすれば、彼らの実像を社会に伝えられるのか。悩みながら撮ってきた」という。その作品は、私たちが貧困の問題を考える上での示唆を与えてくれる。

ごみ袋を敷いて寝る男性、段ボールの家を撤去させられる老夫婦…。どの写真にも一人一人の個性や人生がにじみ出ていて、見る側に迫ってくる。昨年、個展が開かれた東京都内の会場では、食い入るように見つめる観客が少なくなかった。

高松さんが撮影を始めた1990年代は、バブル崩壊で職や住まいを失う人が増え、社会問題となっていた。東京・新宿の歩道で、段ボールの中での生活を余儀なくされている人々を見て、「何という社会なのだろうと衝撃を受けた」。貧困や格差を撮影のテーマに据え、公園やガード下、河川敷などを訪ね始めた。だが「『社会に現状を訴えたい』と撮影を申し込んだものの、相手にされなかった」という。

精神疾患、アルコール依存症、多重債務、派遣切り…。「さまざまな事情を抱えた人々が身を寄せる路上には、社会の問題や矛盾が、濁流のように流れ込んでいた。当然ですが、撮影に応じて顔をさらしても、良いことは何一つありません」

彼らにどう接すればいいのか、自問自答しながら路上に通う中で、世間の「本音」も見えてきた。行政による公園などからの閉め出し、中高校生らによる暴力や嫌がらせ、困窮者に部屋を貸して生活保護費を搾取する「貧困ビジネス」…。根っこにあると思えたのは「ホームレスという言葉でひとくくりにし、彼らの存在自体を否定する意識」だった。

かつての自分にも、似た発想があったのではないか。そう気づいてからは「一人の人間として相手に向き合わないと、偏見や差別の芽はなくならない。その努力の不足が貧困問題の解決を難しくしていると思うようになった」と振り返る。

高松さんも路上に座り込み、父親ほど年の離れた相手と話し込んだ。自らをさらけ出すうち、カメラの前に立ってくれる人が増えてきた。

個人として相手との関係をどう築くか。そこにホームレスをめぐる問題を解く糸口があると、高松さんは感じている。「たとえ相手に共感できなくても、相手の立場を想像し、個人として向き合うことはやめたくないと思っています」

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高松さんの個展が11~18日、東京都品川区東五反田3の16の21、清泉女子大で開かれる。

【写真説明】個展会場でホームレスの人たちを撮影した作品の前に座る高松英昭さん=東京都台東区

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VOICE!happy news特派員・みの 21歳 大学生 愛媛県

高松さんの「たとえ相手に共感できなくても、相手の立場を想像し、個人として向き合うことはやめたくないと思っています」という言葉が私の心に響きました。ホームレスという世界、私は味わったことがありません。ただ、私が足を運んだ経験のある国には全てホームレスの方がいました。初めての海外だった韓国では、たくさんの人が行き交う地下街に降りる階段の踊り場で、お金を入れるための物なのか20㎝小さな段ボール箱を置いてピクリともせず土下座をしている男性の姿を見て驚いたことがありました。その地下街は若者や家族連れが大勢いる場所で、同じ場所でも立場等の違いで場所の捉え方が変わることを実感しました。知らない人だから関係ない、分からない世界だから関係ない、と向き合わないでいることは、人と人が離れていくような気がします。外で生活する経験は私にはありません。しかし、立場を想像することはできます。私も一人一人の立場を想像し、向き合っていける人間になりたいと思いました。

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