by 日本新聞協会
BACK INDEX

HAPPY NEWSハッピーニュース

2015.10.09 update.

「権威誇らぬ智おじさん」

毎日新聞社 | 2015年10月6日掲載

 

「権威誇らぬ智おじさん」 ノーベル医学生理学賞の大村さん 親類の毎日新聞記者が見た素顔

 ノーベル医学生理学賞に選ばれた北里大特別栄誉教授の大村智さんは私の父のいとこ。ここでは普段どおり「智おじさん」と呼ばせてもらいたい。

 智おじさんのかつての山梨県韮崎市の家にも、子供のころからたびたび遊びに行った。今年の盆に会った時には、大柄な私に「また貫禄が出たな」と冗談めかして声を掛けてくれた。

 家での智おじさんは「天然物有機化学の権威」ということをまったく感じさせない。スキーは国体出場の腕前、芸術をこよなく愛する男だ。その愛着は、収集した美術作品を集めて展示する「韮崎大村美術館」を建ててしまったほど。美術館を訪ねたら、館長自ら作業服姿で美術館周りの草刈りをしていたこともある。

 韮崎の家で過ごすときには、好きな陶芸作品を一日中眺めていた。亡くなった妻文子さんのことを「ワイフ」と呼び、夫婦仲むつまじい様子も記憶に残っている。

 化学者としての智おじさんの講演もたびたび聞いた。有用な微生物を世界各地で集めた逸話は、冒険小説や「宝さがし」のようでワクワクさせられた。静岡県のゴルフ場で集めた土から、犬のフィラリアやアフリカの風土病「オンコセルカ症」などに効果のある物質が見つかり、特効薬「イベルメクチン」になった話には胸が高鳴った。

 世間でいう秀才エリートではない。山梨大を卒業し、いったん都立墨田工業高校の定時制で教員として勤めた。昼間の仕事を終え、真っ黒に汚れた手で勉強に励む教え子を見て「俺も頑張らないと」と一念発起、大学院に通って研究者を志したという。

 10年ほど前、私が毎日新聞社への就職が内定したという知らせを、「毎日に内定した」ではなく「毎日泣いている」と智おじさんが聞き違い、ひどく心配してくれたことも良い思い出だ。大村家の一人としてうれしく思います。おめでとうございます。【大村健一】

20151006

この記事でHAPPYな気持ちになったら

VOICE!読者F 会社員 神奈川県

大村さんが父のいとこにあたるという記者が、大村さんの人柄について述べている。

世間でいうエリートではなく、定時制の工業高校で教員を勤めながら大学院に通って研究者になった。昼間仕事をしながら、勉強に励む教え子を見て、一念発起したという。

ノーベル賞を受賞される人は、自分とは遠い存在に捉えがちだが、大村さんを少し身近に感じることができました。

HAPPY NEWS SHARE RANKINGHAPPY NEWS facebookシェア ランキング

RECOMMEND“よんどく!”おすすめ記事

ハッピーニュース2016発表新聞社のNIB出前授業18歳選挙ハッピーニュース2017募集中!スペシャルインタビュー