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2015.06.09 update.

楽しい雰囲気で安心感

京都新聞社 | 2015年5月18日掲載

スポットライト 障害児のヘアカットを支援する 赤松隆滋(あかまつ・りゅうじ)さん(40) 楽しい雰囲気で安心感 子の自信につなげたい

 

おびえて母親の腕にしがみつく自閉症の男児に、散髪の手順をイラストで示したカードを見せる。自らの髪の毛を切って見せ、「チョキチョキするの痛くないよ」。やっと安心した表情で男児がほほ笑んだ。NPO法人を立ち上げ、散髪を怖がる障害児の支援や受け入れる美容院を広げる活動に取り組む。
6年前、初めて自閉症児を散髪した時、バリカンを使ってパニック状態にさせてしまった。「聴覚過敏」の症状を知らなかった苦い経験。「あまりのショックで、その日から障害児の子育てや福祉の本を読みあさった」。障害児のヘアカットを独学で考え始めた。
自閉症や多動性障害児や母親の中には、何軒もの美容室にカットを断られて悩んだり、身体を押さえつけられての散髪がトラウマになることを知った。大学時代は小学校の教員を目指したほどの子ども好き。「自分の仕事で子育てを手助けできるかもしれない」
どうすれば安心感を与えられるか、試行錯誤した。イラストで丁寧に手順を説明し、子どもの目線に立って楽しい雰囲気を作る。店に入るのを嫌がれば屋外でも切った。「美容師から率先して一歩を踏み出さねば、何も変わらない。できない部分を嘆くのでなく、できたことを一つ一つきちんと褒めてあげる」
2014年、活動を京都から発信しようとNPO法人「そらいろプロジェクト京都」を立ち上げた。美容師や福祉関係の学生にノウハウなどを伝える講演会を開き、全国を走り回る。「障害児のヘアカットがどこの美容室でも当たり前に受け入れてもらえる社会を目指したい」と語る。
障害児だけでなく、散髪を怖がる子どもの恐怖心を減らそうと、今年3月からは、ヘアカットを楽しく伝えるアニメーションも作成し、動画投稿サイト「ユーチューブ」で配信を始めた。現在は自らの店舗以外に、依頼を受けて支援学校や在宅での障害児のヘアカットに出掛ける。
ある時、美容室に対するトラウマを抱える自閉症児が、自然に散髪や洗髪を受け入れてくれ、「気持ちいいなあ」とつぶやいたことがあった。「美容師が障害を理解していれば、最初から得られた感情だったはず。悔しかった」と振り返る。「ヘアカットができた母子の満足げな表情を見るのは何よりうれしい。これが障害のある子どもたちの自信につながれば」(今野麦)

 

写真説明=「障害児のヘアカットが当たり前に受け入れてもらえる社会を目指したい」と話す赤松さん(京都市伏見区)

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この記事でHAPPYな気持ちになったら

VOICE!happy news特派員・石田栞菜 19歳 大学生 2015年5月18日

 自閉症や多動障害の子供たちはいろいろなものに対して敏感で、強い関心やこだわりを持っている。日常の中のちょっとしたことであっても、彼らにとっては恐怖を覚えることも少なくない。しかし、それらを見つけ出しては一つ一つ理解していこうとすると長い時間がかかるだろう。もし、私がその立場だったら、当たり障りのない対応でその場から逃げてしまうかもしれない。赤松さんの言葉にある、「できない部分を嘆くのでなく、できたことを一つ一つきちんと褒めてあげる」ということは、子どもたちにはもちろん、自分自身に対しても必要だと思った。できない、と逃げ道を探すのではなく、できたときの喜びをかみしめ、エネルギーに変えられたら大きな自信に繋がるだろう。私自身がヘアカットを通して触れ合う機会はないかもしれないが、ほかの場面で直面したら、真っ向から立ち向かい、より生きやすい環境作りの手助けをしてあげられたらいいと思う。

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